暑い時期の運動や、汗をたくさんかく屋外で気をつけるキーワードは塩分補給と言われています。人は誰しもエクササイズすると汗で水分を失うと同時に塩分も失ってしまいます。
特に熱中症を心配する時期になれば汗をかく量が大量に増えます。失う塩分も多くなるため塩分の補給量にも少なからず気をつける必要があると考えられます。
でも、なぜ塩分が必要なのかしら?
今回は、熱中症予防の意味でも、からだにおきる変化と、塩分の関係をまとめました。塩分が必要な理由を知らないと、大変なことになるかもしれませんよ〜
塩分が身体で果たしている役割
まずは、塩分がそもそもどのような役割を体内で持っているのか、知っておく必要がありますね。
人の身体の中には、常に一定の割合で塩分が含まれており、この塩分は生命に直結する大切な働きを様々な観点から行っています。
炭水化物やタンパク質、脂肪分が身体を動かすエネルギー源になる一方で、塩分の役割は端的に言えば体内のいろいろなシステムの働きを守って維持することです。
それ以外にも、血液や消化液中に含まれる塩分は、食べ物の消化を助けたり、細胞を守ったり、神経や筋肉を含む体の状態を整える重要な働きをしています。 通常であれば、体内で塩分不足になると痙攣やしびれなどを引き起こします。
例えば、塩分は私たちの身体の中の血液や消化液、あるいはリンパ液などの体液成分にイオンの状態で溶けており、細胞内外における体液浸透圧を調整しそのバランスを一定に保つ役割を担っています。
塩分の補給が必要な場合とは?
汗は、その大部分が水ですが、ごくわずかに塩分も含まれています。大量に汗をかいたときには、水分と共に体内の塩分も失われてしまいます。そんなときには、水分補給と共に塩分も必要になってきます。
発汗がある場合には必ずしも塩分を補給しなければならないということではありません。塩分の補給が必要となるのは、あくまでも大量の発汗があった場合です。
例えば、1時間以上の激しい運動を行う場合や、発汗量が体重の2%を超えるような場合などが目安です。1時間に満たない軽い運動の場合などは、水分の補給を意識して行いましょう。
間違った給水でおこる『低ナトリウム血症』に注意!
最近では熱中予防に水を飲むということは徹底されており、子どもの運動や屋外作業員でも給水の習慣は浸透したのですが、一方で【低ナトリウム血症】も報告されています。
ナトリウムは人体に必要なミネラルの一種で、細胞を取り巻く細胞外液の浸透圧を調整する働きや、筋肉や神経の働きを正常に保つ働きがあり、主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。健康な人には体液の量と質を適切にコントロールする機能が備わっているため、通常、低ナトリウム血症になることはほとんどありません。
「低ナトリウム血症」は、水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度(塩分の濃度)が低下した状態で、「水中毒」とも言われています。体温調節しにくい子どもやお年寄りに起こることもあります。
お水をガブ飲みするのも、良くないんですね〜
水分補給は脱水を予防するためにも重要です。しかし、水分補給していても足がつったり、めまいや頭痛が起こるのは、ミネラルのひとつであるナトリウムが不足しているサインです。
放置していると、多尿・頻尿、下痢、吐き気や嘔吐が起こります。重症化すると低ナトリウム血症になって、錯乱、意識障害、性格変化、呼吸困難などもあり、死亡事故につながることもあります。
塩分補給のタイミングは、運動を始める1時間前+運動中
夏にスポーツをする人だけでなく、日常生活でも水分補給は重要です。『水分は主に大腸から吸収されるため』汗をかいてから飲むのでは遅すぎます。こまめに水分とナトリウム補給をしましょう。
お水は、少しずつ飲むと良いって聞きます。こまめな補給が大事なんですね〜
特に運動をする方は、運動を始める1時間くらい前にコップ1~1.5杯くらいの水分とナトリウムを、さらに運動中もこまめに補給をしましょう。また、発汗が増すほど塩分の喪失も加速度的に増加します。
塩分ドリンクや塩飴、塩こんぶなどを上手に活用する
最近では、運動に摂取しやすい塩分の含まれた飴やドリンクなども販売されるようになり、塩分補給に対する意識も深まっているようです。
水分補給をするときは、ナトリウム補給も忘れずに…といっても、手軽に飲めるスポーツドリンクばかりだと糖分の摂りすぎが気になります。お茶や水で給水するときは、塩こんぶなどのナトリウムを含む食品も一緒に摂ることも良いかもしれません。