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お風呂の温度による自律神経の働きの違いとは

2023 6/22

気温が高くなると、入浴はついついシャワーのみになったりします。汗を流すために、ザッと浴びるだけの方も多いのではないでしょうか?浴槽にじっくり浸かることは、自律神経を整える効果や疲労回復効果があります。今回は、お風呂の温度について考えてみましょう。

目次

お風呂に浸かる物理効果

お風呂のお湯に浸かってのんびりすれば、身体に「温熱」「水圧」「浮力」という、3つの物理作用が働き、リラックスでき、健康増進・ストレス解消・美容にも効果があります。

温熱効果

お湯の温度によって身体に及ぼす影響が異なります。血管や皮膚などを調整する自律神経の一つである交感神経を刺激して、新陳代謝を高め心身共に興奮状態になります。また、ぬるめの温度にゆっくりとつかると、もう一つの副交感神経が働き、精神的な安らぎと落ち着いた気分になれます。

水圧効果

お風呂に入ると全身に水圧がかかり、横隔膜が上に押し上げられ、肺の容量が少なくなり空気の量が減少します。それに伴い、静脈やリンパ管も圧迫されます。お湯から上がると水圧が無くなるので、手足の先まで一気に血液が流れ、全身の血行が良くなります。

浮力効果

お湯につかると浮力が働くため、身体が軽くなり、関節や筋肉にかかる負荷が減少し、筋肉の緊張がときほぐされます。痛みがあって動かしにくいところも、お湯の中なら曲げ伸ばしがしやすくなります。毎日の入浴で少しずつ動かし筋力をつけてゆくといいでしょう。また、浮力でカラダが軽くなると、精神的にもゆったりリラックスし、ストレス解消にもなります。さらに、副交感神経が優位になるため、血管が拡張し、血液の循環がよくなる効果があります。

そもそも自律神経とは?

自律神経は呼吸や血流、消化吸収や体温調節など、全身の機能を維持する重要な役割を担う神経です。「神経」は中枢神経(脳と脊髄のこと)と、全身に張り巡らされた末梢神経の2種類に大別されます。末梢神経のうち、刺激に反応して自分の意識とは無関係に働くのが自律神経です。自律神経には交感神経と副交感神経の2系統が存在し、それぞれ異なる働きを担っています。

交感神経と副交感神経の働き

交感神経と副交感神経は相反する役割を担い、バランスを取りながら生命活動を維持しています。具体的な働きについて解説します

交感神経の働き

自律神経のうち、体の機能を活発化させる神経を交感神経と呼びます。例えば、血圧を上昇させる、心拍数を上げる、筋肉を緊張させる、発汗を促進させるなどが代表的な働きです。

交感神経は日中に優位な状態になりやすく、また、ストレスを受けたり興奮したりすると活発化することが知られています。

副交感神経の働き

副交感神経は、おもに休息しているとき優位に働く自律神経です。血圧を下げたり心拍数を低下させたり、筋肉を弛緩させたり発汗を抑えたりするのが副交感神経の役割です。副交感神経が優位となるのは、リラックス時や入眠中などです。

温度による自律神経の働きの違い

水温の違いにより以下のような呼び方をします。

  • 『高温浴』42〜45℃
  • 『温浴』39〜42℃
  • 『微温浴』37〜39℃
  • 『不感温浴』34〜37℃

高温浴:4245℃

日本人が好む温度で一般的に入浴して最も気持ち良いと感じる温度が42度と言われています。体に対して刺激的に働き、自律神経の交感神経を優位にさせる温度です。疲労物質である乳酸を取り除き、筋肉の疲れをときほぐします。

温浴:3942℃

家庭で一般的な入浴温度になります。血液循環により温熱効果があります。適度な発汗と皮膚洗浄化作用により浴後に爽快感があります。

微温浴:3739℃

体に対して、鎮静的に働き、精神神経系の興奮を抑えることから、リラックス効果があります。副交感神経を優位にするため、脈拍数を落とし血圧を低下させる効果があります。

不感温浴:3437℃

入浴して熱くも冷たくも感じない温度を『不感(中立)温度帯』といいます。体温と変わらないため、脈拍、血圧、呼吸にほとんど影響をあたえず、鎮静作用があります。水中リハビリテーションに有効な水温です。

温冷交互浴

温度変化の環境に体が耐えられるよう積極的に訓練する目的で、3分程度の温水(38度以上、42度以下)の入浴と20秒〜1分程度の冷水(25度以下)入浴を交互に行います。最初は我慢できる温度から始め、徐々に温度差を広げていきます。これを3回から5回行います。末梢血管が拡張し血液循環が良くなるため、乳酸などの疲労物質や老廃物を排出しやすく、疲労回復に大きな効果が現れます。

目的別の入浴温度

一般的な目安として42度程度が気持ちの良い温度で、交感神経の働きを高め心身共に活動的になります。38度程度はぬるく感じますが、副交感神経を刺激しリラックスをもたらします。入浴目的により、この水温と自律神経の働きの関係を理解しておくと良いでしょう。

良質な睡眠のためには

良い睡眠を取るのには、入浴が強力なツールになります。人の体はもともと体温が下がってくると眠くなるようにできています。良い睡眠をとるためには、特に体温が急に下がるタイミングで寝るのがベストです。入浴をすると一旦体温が上がり、お風呂から上がって約90分後に急速に体温が下がってきます。このタイミングで布団に入ると良い睡眠が取れるといえます。

朝風呂で目覚めをシャッキとさせるなら

起床直後は1日でもっとも体温が低く血圧も下がっています。すぐに熱めのお湯に入ると血圧が上がってしまうので、42℃以上の熱すぎるお湯は避け、38-40℃の心地良いと感じる温度で5分程度入浴しましょう。 身体にかかる負担が少なく、交感神経の働きもよくしてくれます。いつもより少し短いかな?少し物足りないかな?と感じるタイミングであがりましょう。

疲労回復しながら、リラックスしたいなら

微温浴でゆっくりとつかると、副交感神経が働き、精神的な安らぎを得られ、落ち着いた気分になれます。リラックスには、夏は38℃、冬は40℃位がおすすめです。目的に合わせて、お風呂の入り方を変えて、しっかり疲労回復しましょう。

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